＜これまでのあらすじ＞
「おとうさんといっしょ」に出ることになったのは、おゆうぎが嫌いな４歳児。カメラに映らないどころか、スタジオから逃走するんじゃないかと懸念する母でした。 |
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５．おっと？その気になってきた
ところで「おとうさんといっしょ」の放送がある毎週日曜朝8:00、わが家でついているＴＶ番組はだいたい「サンデーモーニング」である。
関口宏から時事問題を知り、アシスタントの女性がつくる工作に感心し、「喝！」と吠えるおっちゃんを見るのが常である。
なのでスタジオ収録が当選するまで、裏番組にあたる「おとうさんといっしょ」を見る機会はほとんどなかった。
「おとうさんといっしょ」土曜夕方5:30の再放送も、ちょうどお父さんが子どもふたりを順番にお風呂に入れていく時間である。
母もバスタオル片手に行ったり来たりせわしなく、さらに夕食の準備などしなければいけないので、ＴＶがついていてもじっくり見られるような状態ではなかった。
そんなわけで、新番組「おとうさんといっしょ」の存在は何となく知っていても、ちゃんと見たことはなかったのである。
一応、番組の流れぐらいは知っておかないとなぁ。
というわけで、収録に行くと決まってからは予習と称して家族そろって、何度か「おとうさんといっしょ」を見た。
・・・シュッシュとポッポが夫婦漫才みたいだな。今どき流行りのゆるキャラっぽい雰囲気を狙ってる感じかな。・・・っていうかイチジョウマンセブンのテーマソング、山本正之！？スタッフなかなかやりおるな。
･･･あれ、体操が意外と難しい・・・歌詞何言ってんのかいまいちわかんない・・・親でさえ覚えれないんですけど。
結論。けん坊、踊れねーわ、こりゃ。
そんなこんなでいよいよ収録を間近に控えた週末。
静岡のおばあちゃんがわが家に泊まりに来たので、お父さんの弟にあたる練馬のおじちゃんと、いとこのなっちゃんも遊びに来てくれた。
お父さん経由で情報は伝わっていたようで、「ＴＶ出るんだって？いいなぁ〜」とおじちゃんに持ち上げられるけん坊。
すると「おじちゃんも子どもの時、TV出たんだよ。学校でひとりだけ選ばれて、パントマイムみたいなことやってね。」とおばあちゃん。
出演は小学生のときらしく、なにせ35年ほど前のことなので番組名など詳しいことはわからないのだが、想像するに「おかあさんといっしょ」の「パント！」みたいな状態だったようだ。
それにしても一人だけ選ばれるとは。のちに生徒会長も務めたほどのおじちゃんの舞台度胸の良さは、このあたりから開花していたのかもしれない。
それを思えばけん坊は、スタジオの大勢の子どもたちの中のひとり。
頑張れけん坊。
踊らずともよい。何とか紛れ込むのだ！
「けんちゃん、NHK行くんだって？いいなぁ〜」
「シュッシュとポッポいるかなー」
収録２日前。そんなことを言われているうちに、けん坊も行く実感が沸いてきて、何となく楽しみになってきたようだった。 |
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