＜これまでのあらすじ＞
「おとうさんといっしょ」の当選メールが届きましたが、まだ収録日時がわかりません。さらにおとうさんに告げたところ、速攻で出演拒否されました。果たして参加は叶うのでしょうか。 |
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３．着ぐるみとの遭遇、事前シミュレーション
その週末はそのまま家を空けて静岡へ泊まりに行ってしまったので、収録日時を知らせる当選通知ハガキを見ることができたのは月曜のことであった。
そのハガキに印字されていた日付によると、収録は１ヶ月ほど後の火曜日。集合時間が14:10とある。 お、これなら行けるかも！
幸いなことに、指定されたその日はたまたま、まー坊が保育教室に通う曜日であった。
保育教室というのは、ご近所にある小規模保育園で行っている、幼児レッスンのようなものである。
保育園なので共働きの家庭は当然フルタイムで預けるのだが、午前中にリトミックや英語のカリキュラムがあり、習い事のようにその時間だけ預かってもらう子もいるのである。
まー坊もその習い事タイプで通っていた。
本来ならば12:00にはお迎えに行かねばならないのだが、時間単位での延長も受け付けている。これを利用すれば収録の間、みていてもらうことが可能であろう。
そんなわけで、当日のまー坊の預け先が決定。
延長は少し余裕をみて、17:00までにしてもらう。保育教室にだいぶ慣れてきた頃でもあり、無事に引き受けてもらうことができた。
「ちょっと長い時間になりますけど、がんばりましょうね♪」と先生にも励ましてもらい、一安心。
けん坊の幼稚園についても特に行事とはかぶらず、欠席しても問題なさそうだった。
あとは、ふたりの体調が良いよう祈るのみである。子どもってこういう時に限って熱を出したりするもので。
さあ、ここへ来てけん坊にはこの件、何と伝えるか。
収録へ行けることは確定したので、「おとうさんといっしょ」の放送はなるべく見せるようになった。
しかし「これ出たい？」とそれとなく水を向けても、はっきり「出たくない」と言い放つけん坊。
お父さんまでもが「そうだよなぁ、俺だったらこんな、人前で踊ったりすんの、嫌だもんな〜」なんて言う始末。その辺り、お父さん譲りなのかもしれない。
そんな日々を過ごすなか、家の近所にローソンができた。
オープンイベントにけん坊とまー坊を引き連れていくと、お店の前にタヌキの着ぐるみ。ポンタくんというらしい。
すでに小学生男子が何人も取り囲んで抱きついたり押したり引っ張ったり。楽しそうにじゃれあっている。
けん坊、着ぐるみはあまり見たことないからなー、もしかしたら恐がるかな？ なんて思っていたら、やおらポンタくんに近づくけん坊。
身体をさわり、尻尾を追いかけたりしはじめた。
そのうちだんだん興奮してきて、ポンタくんの服をめくって頭つっこんで入るわ、身体をバシバシたたくわ。目をキラキラさせてものっすごいはしゃぎっぷり。
子ども達に取り囲まれ、手荒な扱いを受けてよれよれのポンタくんはやがて、ローソンから出てきた本部スタッフに救出されて店内へ。
けん坊は「バイバーイ！」と大声で叫んで見送ると、帰路についてからも「もっとポンタくんと、遊びたかった」と何度も何度もブツブツ言っていた。
「ポンタくん、明日も来る？」と聞くので「明日は来ないよ、今日はコンビニができたからよろしくね、って言いに来たんだよ」と説明しても、「なんで？なんで？」と納得できない様子だったのであった。
でもこれは、ちょっといい傾向かも？
「おとうさんといっしょ」の番組にはシュッシュとポッポという着ぐるみキャラクターがいる。スタジオ収録にも、当然いるだろう。
はじめて見たポンタくんにこれほど喜ぶんだから、いつもTVで見るシュッシュとポッポに会えたらけん坊、それは嬉しいに違いない。
それだけでも充分、行く価値はあるだろう。 |
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