＜これまでのあらすじ＞
出発時刻が近づき、準備している４歳児。やる気満々で着替えはじめたのは良かったのですが、本人に任せていたらいまいち親のセンスが疑われそうなコーディネートが完成しました。 |
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９．ランチは景気づけのオムライス
そして出発予定時刻の11:30になった。
暑さに備えてけん坊には帽子をかぶせ、小さなペットボトルの水を持たせる。
母のバッグには財布と携帯、案内ハガキも忘れずに。
自分の身分証明書が必要な時には、免許証を出せばいいかな。けん坊の分は、保険証を持っておこう。
あとはNHK周辺の地図をプリントアウトしたものと、電車時刻をメモ書きした紙。
途中で服を汚したり濡らしたりといった不測の事態が起こらないとも限らないので、念のため着替えも一組入れておく。
その程度の小さな荷物で、なるべく身軽にすることにした。
さてNHKへは小田急線で向かうのだが、家からの出発はまず車である。
徒歩数分の小さな最寄駅ではなく、少し離れた大きなターミナル駅まで車で20分ほど走ることにしたのだ。
それはまー坊をお迎えに行く必要があるので車でそのまま帰りに寄れるようにする、というのと。
もうひとつ、けん坊が帰り道は疲れて絶対に歩かないだろうとふんだからである。
そのために、どこか途中に車を置いておく必要があった。
ちなみに春に年少さんで入園したけん坊。
14:00で終わる幼稚園生活でさえ、バスを降りるとまだ「疲れた〜、けんちゃん、もう、歩けない〜。」と道路に座りこんでしまうことがある。
母の顔をみてほっとして甘えているという面もあるとは思うのだが、園で思いっきり遊びまわって体力を使い果たしてきたのだなぁ、と感じたりもする。
幼稚園バスを降りてから、ほんの数十メートルほどの距離がもうフラフラで歩けず、なだめすかしながら引きずるように帰ってくるのである。
もっとも、家に帰っておやつを食べたら、だいたい回復するのだけれど。
そんなわけでけん坊が眠ってしまってお父さん疲労困憊の、NHKスタジオパークの帰路の二の舞は勘弁していただきたい。
やがてターミナル駅に到着し、車をショッピングセンターの駐車場に停める。
まずはここでけん坊とふたり、ランチとしゃれこむ。駐車場は有料だが、買い物をしたり食事をしたりすると、無料時間がおまけされるシステムである。
何といってもわが家にとって、今日はけん坊が主役の日なのだ。
いつもは出かけても常に弟の１歳児、まー坊がくっついているので外食もままならない。せめて今日はふたりでゆっくり過ごしてあげようという気持ちもあった。
レストランフロアにはステーキ店、とんかつ屋、回転寿司、ラーメン屋などが並んでいる。
ショーケースにお子さまランチを見つけると、嬉しそうに駆け寄っていくけん坊。
せっかくなので今日のメニューは主役に選ばせてみた。
「何食べる？」と聞くと「オムライス！」と叫ぶけん坊。さっそくオムライス専門店に入る。
しかし店内に入り、メニュー表を見て、けん坊が「これ！」と選んだのはキッズメニューのホットケーキセットだった。
ホットケーキにチョコペンで顔が描かれ、生クリームが添えられているプレート。あとはゼリーとジュースがついてくる。
･･･えっと、オムライスがどこにもないんですけど。
オムライス屋にオムライスを食べに入って、オムライスを注文しないとは、これいかに。
母が尋ねるとけん坊は「だって、お顔がついてたから、これにしたんだよー」と弁解していた。顔？そこ！？
ホットケーキはキッズ用とはいえ、４歳児にはけっこうなボリュームだった。
食べきれなさそうなので、母も手伝う。食事じゃなくてデザートだなこりゃ。とはいえ生クリームの甘さが嬉しい。母子ふたりでばくばくと食べる。
キッズメニューにはオモチャもついていた。
カゴを持った店員さんが「この中からおひとつどうぞ」といろいろなオモチャを差し出してくれ、けん坊は赤いミニカーを選んだ。
実はこれが後になっての帰り道、思いがけず役に立つことになる。
母は日替わりランチメニューのイタリアントマトバジルオムライス。けん坊にもとり分けてあげたら、美味しそうに食べていた。 |
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